裁判手続き
裁判手続き
Qどこの裁判所で手続きができますか?
A
「これだ」と思った裁判手続きが,どこの裁判所でもできるわけではありません。
それぞれの手続きごとに,「管轄」という,手続きを行うことができる裁判所の決まりがあります。
管轄が住所で決まる場合に,住所ごとにどこの裁判所が管轄にあたるのかは,「下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律」という法律に定められていますが,裁判所のホームページにも管轄区域表が載せられています。
しかし,裁判を起こすとき,調停を起こすとき,どんな場合でも「自分の住所」を基準に管轄が決まるわけではありません。
例えば離婚調停を起こそうとしても,自分が広島県福山市,相手が東京都港区に住んでいる場合には,自分の住所地を管轄する広島家庭裁判所福山支部ではなく,相手の住所地を管轄する東京家庭 裁判所で調停の手続きをしなければならないと定められています(相手との合意があれば別です)。
このような管轄は,離婚協議を始めるとき,調停をすることを見越して東京の弁護士に相談するのか,それとも普段相談しやすい福山の弁護士に相談するのか,はたまた遠方であることから,調停は起こさずになるべく話し合いでの解決を目指すのか,といった戦略にも関係してきます。
それぞれの手続きでどこの裁判所が管轄になるのかは,民事訴訟法,家事事件手続法などの法律に定められていますので,詳しくは裁判所か事件のご相談をする弁護士にお尋ねください。
Q裁判所で利用できる手続きにはどんなものがありますか?
A
裁判所が扱う事件は,その種類によって大きく
① 民事事件
② 家事事件
③ 刑事事件
④ 少年事件
の4つに分類されます。
1 民事事件
民事事件とは,個人間で紛争(トラブル)が起きてしまったとき,裁判所手続きを利用して解決を図る事件のことです。
話し合いで解決を望むときは民事調停を,勝ち負けのはっきりした判決を出してほしいときは民事訴訟を利用します。
この他にも,労働審判,支払督促,民事執行,倒産・特定調停,保護命令などの手続きがあります。
2 家事事件
離婚,相続,子どもの問題などの家庭内の紛争は,感情的な対立が激しく,法律的な観点だけで解決することは妥当でありません。また,家庭内のことゆえ,プライバシーへの配慮も必要になります。
そのため,家庭内の紛争については,家庭裁判所が,非公開の手続きで,どのような解決方法がその家族・親族の関係にとってふさわしいかという視点で後見的な役割で解決します。
このような家庭に関する事件を家事事件と呼び,手続きの種類に応じて審判事件と調停事件の二つに分かれます。
3 刑事事件
捜査機関である検察官が犯罪を捜査し,捜査の結果,その事件を起訴することが相当であると考えて裁判所に起訴状を提出し,公訴を提起すると,刑事事件の裁判手続きが始まります。
また,刑事裁判そのものではありませんが,捜査機関が捜査を進めるうえで被疑者の身柄を確保したり,住居に立ち入ったり,所有物を差し押さえたりする場合には現行逮捕などの例外を除き,裁判官が発付する逮捕状,勾留状,差押許可状などの令状が必要となります。
4 少年事件
少年が事件を起こしてしまったとき,家庭裁判所は,少年に過ちを自覚させ,更生させることを目的として,少年の調査・審判を行い,少年の処分を決定します。
審判は,少年の再非行を防止することを目的に,本当に少年に非行があったかどうかを確認し,非行の内容や少年の抱える問題点に応じた適切な処分を選択するための手続きです。
5 どの手続きが解決にふさわしいか
ご自身の解決したい内容は,裁判所の用意しているどの手続きを利用するのが適切なのか,あるいは,裁判所の手続きではないほうがよいのか。
弁護士にご相談いただければ,より良い解決方法・手続きをご提案いたします。